「障害者支援×デザイン」で福祉的就労の未来を提言~就労支援フォーラムNIPPON 2024~
2024年12月15日、東京ビッグサイトで開催された「就労支援フォーラムNIPPON 2024」今年で11回目を迎える本フォーラムには、全国から1,000名以上の就労支援に関わる関係者が集結し「Ctrl+Alt+Del(再起動)」をテーマに、就労支援の未来について議論が行われました。

博愛会 第一博愛寮の釘宮謙悟施設長は分科会Ⅰ「魅せる!福祉的就労の新しい『カタチ』~障害者だからという付加価値(スティグマ)からの脱却~」に登壇し、新たな福祉的就労の方向性を提案しました。

SNSとデザインが生む新しい福祉的就労のモデル
博愛会では「やさしさ日本一の社会福祉法人」を法人理念に、新たな福祉的就労の形を追求しています。その一例が、大分県杵築市にある「キツキテラス」です。この海鮮BBQレストランは、地域の特産を活かしながらSNS映えするおしゃれなデザインを取り入れることで、多くの若者や観光客の注目を集めました。特に冬季の焼き牡蠣シーズンには、わずか1日で100万円以上の売上を記録するなど、障害者支援事業所でありながら地域経済の中心的な役割も担っています。
さらに、店舗のプロモーションには広告費をほとんどかけず、SNS利用者による口コミや投稿が重要な役割を果たしています。利用者が店舗での体験をSNSに自然にシェアしたくなるような環境を整えることで、情報の拡散が促進され、コスト効率の高い集客が実現されています。

地域と若者に支持される「府内のおうどん」
同様に紹介された「府内のおうどん」は、大分市役所直結のカフェ風うどん店であり、特に若者層を中心に高い人気を得ています。この店舗はSNSでの取り上げ方にも工夫を凝らしており、インスタグラマーによる動画投稿が60万回以上再生されるという驚異的な成果を上げました。これにより、地元大分県の若者に広く認知されるだけでなく、障害者が働く場所としてポジティブな印象が醸成されています。この知名度は新卒学生の採用活動に関しても貢献をしています。

また、博愛会では「おしゃれ」「美味しい」「お得」といった特長をメディアやSNS上で効果的に発信する仕組みを整備しています。この仕組みを活用することで、地元だけでなく外国からのインバウンドの観光客からも注目を集める店舗づくりを実現しています。

高賃金の実現を支える要素
博愛会では、障害者の収入を安定して高水準に保つ取り組みを続けています。A型事業所では月額10万円以上の賃金、B型事業所では月額3万円以上の工賃を実現しています。この成功の鍵となるのが、店舗のデザイン性や高品質の商品提供、そして訪れた顧客との真摯なコミュニケーションです。また、SNSを活用して効率的に顧客を集める戦略が、収益向上に大きく寄与しています。

未来を見据えた福祉的就労の方向性
今回の釘宮施設長の発表では「福祉だからサービスのレベルが低くても仕方がないと考えるのではなく、福祉であろうがなかろうが売れる商品・サービスを作ることが大事」「流した汗は全てお金に変えるマインドセットを持ち続けなければならない」という「新しい福祉的就労のカタチ」を示しました。
SNSやデザインの力を借りた新たな試みは、障害者の収入向上だけでなく、社会全体の福祉に対する捉え方を大きく変える可能性を秘めています。博愛会は、引き続き挑戦を続け、福祉とビジネスの融合による持続可能なモデルを構築し、全国にその取り組みを広げていく予定です。
